NAO 「RocknRoll 以外やりたい事がなんも無い」


 日本どころか、世界各国ロックンロール・シーンでも人気沸騰中、最前線で活躍中の東京男女4人組ストンピン・リフラフズ。永らく廃盤で、自分でもよくDJでかける大好きな2010年デビューシングルの再発をさせてもらうにあたり、さらにこれまた廃盤だったデビューアルバムも、東京レジェンドDADDY-O-NOV氏主宰の Radio Underfroundから近々に再発(CD、LP)される予定とのことで、メンバーに直撃メールインタビュー決行! 
 なかなか興味深いディープ回答連発で、知ってる方も知らない方も思わずニヤリな濃厚内容です。是非に御一読してお楽しみくださいませ。

(聞き手、編集:タイムボム・レコード代表 こだま)


ー バンド結成の経緯は? 


Saori   Stompin' の結成は2006年頃です。結成前 NAO君とMikuちゃんでStompin' の前身バンド、私は別のバンドをそれぞれやっていました。私がそれまでやっていたバンドを辞めてメンバーを探していた時にSouta君(Souta and the Blitz Attack Boysのギター・ボーカル、Power Bopレコードのオーナー)を介してNAO君・Mikuちゃん・私が知り合い結成したという流れです。最初ベースは今 Rizlaz で活動しているWataru君がやっていたのですが、Rizlaz に入るタイミングで抜けて、Rie ちゃんが加入しました。

Rie   2008?2009年?頃に現在 The Rizlaz ベースのワタルくんとメンバーチェンジで入りました。それまではスタジオに友達と何度か入るけど形にはならない程度のバンド経験しかなくライヴ活動は Stompin' Riffraffs が初めて。

Miku   六本木のバロンでのライブの時だったかな? ワタル君のリズラズが決まった直後で、そのタイミングでまさかのライブを見に来てくれてたりえちゃんがやりたいと言ってくれて!嬉しくてビックリして、その瞬間は覚えてます


ー女子がフロントでバックが男のバンドはよくあるけど、女子3名がバック、フロントが男の編成って珍しいけど、たまたま? 


NAO   意外と驚かれるんですけど、たまたまなんですよー。

Rie   全っ然意図していなくてたまたま私が加入してこうなってしまいました。

Saori   でも物珍しさもあるのか、今の編成になってから急にライブのオファーが増えましたね(笑)

 


ーバンド名の由来は? グーグル翻訳の「Riffraff=最下層の人々を指す蔑称、クズ」っていうスラング?


NAO   確かにそういう意味もあったんですけど、最初はSAORIちゃんが見てた映画に出てきた名前で、バンド名もSAORIちゃんがつけました。

Saori   ちょうどバンド名を考えている時に「Riff Raff Girls」っていう昔の映画を見つけたんです。で、ポスターなどのアートワークも良くて、世界観が気に入ったこともあり「あーRiff Raffってバンド名に付けたらいいかも」となんとなく思ったのがこのバンド名にしたきっかけです(笑)


ー毎度出演してる DADDY-O-NOV 主催のバックフロム・ザ・グレイブ のイベントって、バンド結成前から知ってたの? リズラズ GO 君のDJ イベントとか?影響受けたり?


NAO   Back from the grave はバンド結成位の頃、SAORIちゃんから教えてもらって遊びに行った。rockabilly のイベントだと the bashや、当時やってた buzzin なんかは良く遊びに行ったし、2 o'clock club という新宿の CLUB WIREでやってた平日のオールナイトと言う伝説的なイベントも最高だった!rockabilly や garageに限らず、面白そうな所は昔から遊びに行ってましたけどねー!未だにそんな感じ!影響受けたかと言われたらもちろん受けてると思うけど、自分のやりたい事やってますね。garageでも rockabilly でもないという(笑)

Miku   メンバーとロカビリーのイベントやバックフロムに一緒に遊びに行ったりするようになって、バンドや Go さんのDJ、あとは結構早い段階で Nov さんに遊んでもらうようになったのもあって自然と色々影響受けさせてもらいました

Rie   わたしはナスさん期の下北沢 Shelter での BFTG に行っててギョガンレンズとか。BFTGに限らず ShelterでLulu's Marble や、Neatbeats や First Alert、Teengenerate や、Gasoline を観てました。因みに六本木 Baron の Goさんのイベントで Stompin' Riffraffs を初めて観ました。Link Wray や JohnnyKnight を演奏してて「カッコいいR'n'R バンドを観ちゃったよー! frat rockってこれじゃない!?」と興奮しました。

Saori   私はバンド結成前からBFTGは知っていて、たまに遊びに行ってました。Stompin'を始めてからはバンドのみんなで遊びに行ったりもしましたねー。Goさんのやっていた Bash もよく行ってました。Bash については出演バンドもそうですが、Goさん・SidさんのDJからの影響も大きかったですね。オーセンティックな Rockabilly だけでなくR'n'R やSurf も掛かっていて、色々な曲を教えてもらったなと思います。


ー結成時から今でも大好きなアーティスト、曲があれば


NAO   これはやっぱり the Sonics と link wray かな!普段はなんでもその日の気分で聞いてるんだけど。

Miku   リンクレイ、ソニックス、ジェリーリールイス、リトルリチャード、レイチャールズとかとか。レイチャールズの中でも大好きな「I don’t need no doctor 」をソニックスがカバーしてるの聞いた時は毛穴ゾワ!って開いた(笑)

これはこれでやばい、やっぱカッコイイな!負けてらんないって再び興奮しましたね(笑)

Saori   うーん、色々あるので迷いますが、やっぱり Link Wray や Sonics の感じはずっと好きですね。

Rie   Floyd Dakil Combo "Dance Franny Dance" は聴いても演っても毎回幸せ。何度か共演した Eddie Angel は、ロカビリー、ブルース、ガレージ、サーフバンドどれをやっても格好よくこなして凄い人だなと思っています。しかも素の本人は親戚の叔父さんみたいな気張ってない雰囲気が魅力的です。


ー初めてのライブって覚えてる?


NAO   初めてのライブは武蔵境の STATT か六本木に前あった BARON だったかな。

Miku   ステージ上がってからの記憶ないな(笑) きっと興奮と緊張で(笑)

Rie   わたしの初は幡ヶ谷 Heavy Sick でイベント"Early Alley"です。youtube 動画あるんじゃないかな?

Saori   Rieちゃんが入って初めてやったライブは覚えてます。確か1曲目が “Whip” だったような?ちょっとゆっくり目に演奏していた気がします(笑)


ー愛用の機材(ギター、アンプ)は? ヴィンテージ ? 


NAO   ギターもギターアンプも以前はビンテージにこだわってたけど、今はあちこちすぐ壊れてしまうので、結局リプロのになってしまったり。たまにビンテージ改造したの使ったり。でも、レコーディングはやっぱりビンテージを使ってますね。

Miku   ピアノはビンテージではなく今のもの。電車移動だから持ち運べてボタンが少ない 88鍵盤が必要で。ボタンはいっぱいあると押しちゃうから(笑)

Rie   バンド初期からずっと Silver Tone の Dolphin Nose '59ベースを使っていました。でも一昨年LA行ったときに空港到着して引き取ったらネックが割れてしまっていて呆然。急遽現地の Caveman Vintage というショップで購入したAlamoTitan1960's を以来、主に使っています。あとは Silver Tone と同時期購入した Danelectro のショートスケール1960's。どれもビザールの類だけどその cheapbut cool なところが好きだしバンドに似合っていると思っています。

Saori   スネアは60年代の Ludwig を使っています。


ーロカビリー、ガレージ系で「テルミン」使ってんのって珍しいと思うけど、なんでまた?ミクちゃんのアイディア?


Miku   ナオでーす!

NAO   自分が元々使おうとしてたんですけど、ギター弾いて歌を歌ってテルミンまでやるのは流石にキツくて、MIKUにやってもらう事になりました。ああいうテルミンは中々いないと思います(笑)そもそもイシバシ楽器から出てたイシバシテルミンというもので今作ってないんですよー。まだ考案者は楽器屋さんに在籍してるみたいなので、挨拶いきたい。

Saori   テルミンは昔のSF映画などに影響を受けて、ナオ君のアイディアで使い出しました。あまりジャンルは気にせず、面白そうなことをやりたいと思って取り入れた感じですね。


ー結成当初から、現在のスタイルに至るまでの変化、経緯ってあるのかな?


NAO   結成当初からは基本的な考え方は変わってないかもですねー。ただ、WILD RECORDS に所属してからは、同世代のバンドも多くて刺激しあえるから自分の表現はかなり煮詰める事が出来たと思ってます。

Saori   方向性は結成当初からあまり変わっていないですね。ただ、以前より自分達の色が出てきたかなと思ってます。より細かい部分にこだわって曲や音作りをしたり。その面に関しては、Wild Records に所属したことが大きいかなと思っています。みんな同年代やもっと若い世代なのに単なるコピーではなくオリジナリティのあるスタイルを持っていて、自分達も負けてられないなーと思いました。

Rie   曲で言うとRockin’ Jelly BeanさんのMondo Erostikaからリリースしたシングルの"Buxotic"。それまで元気なロックンロールで来たのがミドルテンポでエキゾチカな雰囲気のインストロでバンドのレンジが広がったように思います。スタジオ練習にNAOくんが「どう?」と出したときびっくりしました。近年のNathaniel Mayer "Village of Love"のカバー。「スィートなラブチューンなんてStompin' Riffraffsにあり得ない」と思っていたけれど先述のNOVさんからの提案でトライしました。わたしは新境地!と思っていて評判も良い(と信じてます)。「あの曲って気づかなかった」とも言われますが(笑)

バンドの姿勢はWild Recordsとの関わりや海外ツアー踏んできたことがいろいろ変化を作ってるのだろうと思います。


ーロカビリーとガレージの混ざり具合が絶妙でめちゃカッコイイと思うけど、あえて意識したりしてんのかな? 天然? 作曲も全員で?


Saori   意識したり天然だったり色々ですね。ただ、自分達の好きな音がそのあたりなので、自然とそうなっている部分は大きいと思います。曲はナオ君が作ってきて、それをスタジオで合わせながら完成させるという感じです。

NAO   作詞作曲は自分です。まず、自分達は rocknroll をやりたくて、rockabilly や garage を意識というよりは、自分の中では勝手に rocknroll のイメージがこの形なんすよー。なんでこの形がなのかは自分でも分からないけど。兎に角、勝手にそういう事になっちゃってます。


ー欧米でよくツアーしてると思うけど、 過去何回くらい? 最初にやるきっかけは?


NAO   最初は Rebel night nyc weekerder でしたね!そこから色々声かけて貰ったりであちこち行かしてもらうことになった気がしますねー

Miku   当時はマイスペースが流行ってて、そこに連絡をもらったよね!

Saori   アメリカ・ヨーロッパに絞ると10回以上は行ってると思います。アジア・オセアニアを入れるともっとかな。

ー海外ツアー時のハプニング・エピソードある? もう一度ツアー or ライブしたいところは ?

NAO   ニューヨークがハリケーンで大変になっちゃった時にたまたまライブで行ってた時は流石に街も大変だった。

その時は daddy longlegs と2マンでライブやるはずで、WFMU の fools paradiseの Rex が DJの予定だった。

Miku   古い劇場跡みたいな素敵な会場でウキウキして、リハ終えて着替えようとしたら荷物持って全員外でろー!って言われて(笑)台風で配管が破裂してたかなんかで、外出たら20台くらいの消防車がズラーって!イベント中止になって、お客さんで来てくれてたアメリカの友達が近くでやってるイベントあるから行けばやらせてくれるかもって車で連れてってくれたけど、会場着いたら私のピアノとパスポート入ったバッグがなくて!会場にたまたまあった小さいキーボード借りてライブはなんとかやりきった!楽屋に行くとバスローブ着たお兄さんが笑顔でいいショーだった!って振り向いて、ホッコリ救われた気分になった(笑)それが Bloodshot Billとの初対面(笑) 半ベソで元の会場に荷物探しに行ってる間に、今となっては大人気者のダディーロングレッグスも出てたらしく、めちゃくちゃカッコよかったと後で聞いてジェラシー(笑)

Rie   楽器が壊れたりハプニングだらけですけれど、ひとつは感電したこと。LAかな?会場に対バンの彼ら自身のアンプを持込みで設置してくれてライヴしたのですがテルミンの曲のときMikuちゃん、NAOくん、わたしがほんの一瞬だけど掴まれたようにグワッと。巻き込まれていないSaoriちゃんの笑顔がちらっと見えました。惨事にならなくて良かったです。

もう一度と思う地域は、度々ライブをしていますが New York。音楽シーンや街も東京に近い気がします。Brighton。海辺の都市といった感じで様々な人がいた印象です。Madridと他のスペインの街も行きたいな。

Saori   フランスの Bethune というところでやっているフェスに出た時、NAO君がライブのパフォーマンスで勢い余って骨折してました(笑)もう一度ライブやりたいところは色々ですが、やっぱりフランスは面白いのでまた行きたいですね。お客さんがクレイジーで良いんです。バンドより目立とうとしたりとか(笑)

NAO   ヨーロッパもライブ見たり対バンが楽しいんだけど、アメリカは同世代の面白いのが多くて、一緒に遊んでて楽しいし、国によって色んな良さがあって選ぶの難しいですね!


ー日本も各地でライブしてると思うけど、印象に残る地方ってある?


Rie   いろんな各地、それぞれ印象に残っていますが敢えて言うなら初遠征の博多。そのときのオーガナイザーは以降も彼の故郷の新居浜に招聘してくれてます。博多はライヴハウスが連立している地区でさすがロックの聖地だなぁと思ったり。

地方でなく環境ですが、横浜船上ライヴや福生スケートボードランプ上。どちらも真っ直ぐ立てない~っと可笑しかったです。

Miku   地方に行くと特にお客さんも含め皆さんにほんとあちこち案内して頂いたり良くして頂くのでどこも印象的ですが、初めて地方に行った福岡は特に記憶に残ってますね。その日出てた NERVOUS WRECK もめちゃくちゃカッコよくて!呼んでくれた菅くんもマラカスで入ってたね!宿とらずみんな朝まで飲んでそのままバックフロムに出演で(笑)

Saori   色々ありますが、やっぱり初めて呼んでもらった九州が印象に残ってます。今ほどバンドの知名度もないのに、オーガナイザーのカン君の好意で呼んでもらったので嬉しかったですね。それから地方にも度々呼ばれるようになったので、このライブがきっかけになったところも大きいのではと思っています。

NAO   これも場所によって色んな良さがあって難しい(笑)。でも最初に関東以外でライブやらせて貰った、福岡や愛媛の新居浜はやっぱり思い出深い!

stompin'riffraffs


ー今回タイムボム から再発させてもらう2010年のデビューシングルを出した米国の Miz Liz 社との経緯は? 当時初めてレコード出した時の気持ちって?


NAO   きっかけはBack from the graveのHalloween ballで、Texが声をかけてくれた。そこからそれを聞いてくれてアメリカの Rebel night のみんながニューヨークのweekenderへ誘ってくれてって感じで、色々繋がってる。本当にありがたい話ですよ。

Rie   リーゼントしてロカビリーガイの感じだけど The Sonics のTシャツを着ている彼を見て「Stompin' Riffraffsのレコード制作を考えたの納得」と思ったし、同時にカテゴライズを気にする必要はないのだなと感じました。初めての流通音源がシングルレコードなのがちょっと誇らしい気分でした。

Miku   初めてレコードとして形になった時は、やっぱり嬉しかったな!緑だし!

Saori   嬉しかったですね。カラービニールだったのでスペシャル感もありましたし、ライブを観て気に入ってくれて、音源を出してもらえたというのも初めての経験だったので感動もひとしおでした。もちろん、その後も音源を出すたびに同じぐらい喜んでますよ!(笑)


ーその後の各国シングルは、スペインSLEEZYや、Bizarre Men、Killer Diller、Sailor Lars (この3つってどこの国?)、ノートンとかはツアー先で気に入られて出してくれたって感じ?


NAO   BizarreMenは魔界(自分家)、Killer Dillerは NY、Sailor Larsはスウェーデンかな! NortonはNYでちょいちょいみんなと会ったりしてそこからですかねー!

Saori   ツアー先のライブだったり、日本に遊びに来たときにライブを観てもらったりして声を掛けてもらった感じですね。


ーノートンからのシングル(BARRENCE WHITFIELD とのスプリット)でしてた意外なストーンズのカヴァが、バンドの味がメチャ出たアレンジで面白かったけど、あれはビリーの選曲、アレンジ案? バンド案?


Rie   わぁ! そう言ってもらえるとすごく嬉しい! The Rolling Stones Coverシリーズですが、Billyから提案受けた時点で既に他のバンド、アーティストがカバーする曲は除かれたリストが来て指示は何もなくて「ここから好きなのを選んで」それでメンバーみんなで "What AShame"がいけるんじゃないかと選びました。

NAO   中々自分達がその中の曲を上手くかっこいい感じでカヴァーっていうのは難しくて。なので、全部バラバラにして歌詞は使わせて貰って曲を作りなおしました。

Saori   ストーンズとStompin'は音楽性が全然違うので、試行錯誤しながらのアレンジでした。気に入っていただけて嬉しいです!


ーそういえば 2012年にそのノートンが台風被害にあった時、現地ツアー中の皆さんが被害にあった倉庫の片付けヘルプしてたよね? ビリー、ミリアムもよくバンドのこと褒めてたけど、彼らとの思い出とかあれば


Miku   被害に遭った倉庫の中身が廊下にズラーって並んでて。すごい量だった。でも、エレベーター開いた瞬間のビリーとミリアムが、「STOMPIN’ RIFFRAFFS!!!!!!」って嬉しそうな顔で駆け寄ってきてくれた時の顔は忘れられない。唖然としばらく立ち尽くしそうな光景の中だったから。レコード1枚1枚拭いたりとか、ちょっとしたことしか出来なかったけど、行ってよかった。

Rie   浸水したレコードを拭き取りながら2人と話したりNorton周りの現地の音楽好きなみんなと仲良くなって楽しかったです。Nortonの所蔵を見て圧倒されたり良い経験でした。盤面に Sandy(注:台風サンディの名称)とスタンプされたレコードがたまにショップにあると思います。ツアー自体は台風被害の影響と降雪でハプニングばかりでした。

その後2014年にThe A-Bonesが来日して「"What A Shame をライヴで観てもらえる!」と思っていたらBillyが体調悪くてわたしたちのライヴ時会場にいなくて。その更に後New Yorkツアーがあり今度は、と思ったらツアーの直前にBillyが亡くなり、敵わず仕舞いになりました。Nortonと親交の深いTodd-O-Phonicのラジオに出演して曲を演奏した時は泣けてきて。まぁBillyにとっては別に心残りでも何でもなかったと思います。

NAO   あの頃は大変な事になっちゃって心配してたけど、みんな元気で、ワイワイやりながらレコード拭いたりしてきたなー! ビリーが嬉しそうにThe 5.6.7.8sのレコーディングしたマスターを持ってきてくれて見せてくれたり。ライブ一緒になる時はステージ袖から見守ってくれたりして。NYの父と母みたいな!?


ーDADDY-O-NOV主宰Radio Underground Recordsからのデビューアルバム(2011年)を出した経緯は?


Miku   最初は福生でのイベントに声かけてくれて。その日のうちにハロウィンのお誘いもらって、その後もイベントに誘ってもらうようになって。逆にライブを見に来てくれたり。Nov さん色々なところでも初めてライブを見てくれた時の事をよく話してくれてますが、それだけその受けてくれたバンドに対する衝撃みたいなのは本物で、単純に「うちからアルバム出したいなぁー!」とずっと言ってくれてて、形にしてくれました。

NAO   アルバムはちゃんとしたのは初めて録ったから緊張したなー!あと、ジャケの撮影なんか物が少ない妹の家で撮らせて貰ったり、試行錯誤してた。


ーその後のセカンドアルバム「A Man And Three Chicks」(’15年)、サードアルバム「Burning」(’21年)を米国のWILD レコードから出してるけど、経緯は?


NAO   まずWILD RECORDS に入るきっかけは、ある日急にReb(ボス)から facebook経由でなんか一緒にやらないかって連絡が来て、『何かってシングル作ってくれるの?』って連絡したのから始まった。アメリカにツアー行ってシングル録音して、そんでアルバムを作る事になったんだけど、その時WILD RECORDS所属のみんなが同世代の愛らしいバカ達で、自然と楽しかった。

Rebがなぜレーベルに所属しないのかって聞いてきたんだけど、所属したくないというのは当時なくて。仲良いアーティストも多かったし、カッコいいのも多かったからそういう環境で色々刺激受けたいっていうのがあって、Rebの誘いに乗って所属する事になった。その流れで「A Man And Three Chicks」をレコーディングする事になったけど、その時のレコーディングの時なんか、みんな遊びに来てくれてハンドクラップで参加してくれたり、バカな話をしてテンション上げてくれたり最高だった。

「Burning」は丁度コロナの問題が出始めて、海外ツアーも出来なくなり、国内でもイベントが潰れてしまったりとそんな状況下で、この問題はRocknRoll以外やりたい事がなんも無い自分にとっては厳しくて、そんで、もしかしたらこれが最後のアルバムになっちゃうかもーと思って借金しまくって細部に渡ってこだわって作り上げた。結果お金使いすぎた(泣)。WILD RECORDS名義ではあるけど、スタジオはWILDのスタジオではなくて、東京のスタジオで信頼出来るエンジニアのソウタにお願いしてレコーディングしました。

Saori   通常 Wild Records はLAの自社スタジオでレコーディングし、CDのプレスもWild側で行なっているのですが、コロナ禍でLAに行くのが難しくなったため、例外的にそのように対応したという感じです。


ー「ラルフ・ニールセン/スクリーム」「バンカーヒル/GIRL CAN'T DANCE」「SONICS/The Witch」とかの有名な曲とか、「Surfside Date」「The Whip」「Ghost Train」「99 Chicks」「Rock and Roll Guitar」みたいなマニアックなロカビリーやガレージのカヴァも演ってるけど、やっぱクリプト、ノートン系コンピとかの影響? カヴァ選曲は全員で?


NAO   もちろんNortonやCRYPTが根っこにありますねー! 他にEVAのMadness Invasionや、Buffalo Bopだったり。

Rie   コンピレーション影響は知らずあると思いますが他は DJのプレイで知ったり。"Surside Date" は曲を知ってはいたけれど BFTG イベントでジミー益子さんがプレイしていて、メンバーと「やっぱりカッコいい曲だよねーカバーしたいね」とフロアで踊りながら決めたような気がします。

Saori   コンピもそうですが、人から教えてもらったり、イベントで気になる曲が掛かってたらDJに聞いてみるなど、色々なところから影響を受けてますねー。カバー選曲は誰かがやりたい曲を持ってきて、全員でやるかどうかを決めるというパターンが多いです。


ー50’s-60’s ロカビリー、ガレージは、R&B、ドゥワップ同様に底なし沼で奥深いけど、飽きずに今だに研究中(笑)?最近なんか特にハマってるのある?


NAO   基本的には今自分達のやってるスタイルに近いのは好きだけど、全然違う音楽も好き!家ではなんでも聞いてまっせー!

Rie   どのジャンルもいつまでも未だ未だですが、最近は英語圏外の60'sも知りたいし入手したいです。Los Saicosとかその代表と思いますがロックンロールやサーフミュージックやビートルズを消化してこうなる?感がカッコ面白い。GSもだけどアジア圏の。でも一番最近の入手レコードはPUNK。

Miku   色々なイベントに沢山よんでもらってて、対バンさせてもらうバンドもだし、素晴らしいDJの方ばかりなので、イベントでの DJ の時間も大好き、常に刺激影響受けてる。ジャンルや年代にこだわるのではなくて日常で街やスーパーとかでかかってたり、あとは映画で使われてて調べたりハマったりする事も多いですね。

Saori   自分は元から色々聞く方ではあるので、ロカビリーに関わらず気になったものはチェックするようにしています。例えば、お店に入った時に気になる曲が掛かっていたら、Shazamしたり店員さんに曲名を聞いたりして、その後SpotifyやYouTubeで調べたりすることもあります。そうすると結構発見があって面白いです。テクノやヒップホップのアーティストが50s・60sの曲をサンプリングしてたりとか。


ー以前は若手ホープだったのに、今や東京のロカビリー、ガレージ界のセンター的存在になったと思うけど、今のロックンロールシーンなりの状況をどう感じてる? まだまだ元気な年配現役ベテラン・バンドも多いけど?


Rie   シーンについては自分自身のことで精一杯で俯瞰して見ていないのですが、若くて良いバンドもいると思います。

ベテラン勢はずっと一貫して同じスタイルを貫いてるバンドもあるし、一方で深化というか表現が広がって凄みを感じるバンドもありいづれもカッコいいですよね。

Miku   沢山のオファーを頂き、意識する間なく気づいたら結構年月経ってたな(笑)現役で元気な先輩バンドさん達のライブ見ると逆にエネルギーもらいます!カッコイイ!

Saori   自分達がバンドを始めた時よりジャンルの垣根がなくなってきている気がします。Blast Jams みたいに色々なジャンルが混ざったイベントがあったり、バンドやお客さん同士が仲良くなったりして、アウェイなイベントでもふらっと遊びに行くみたいなノリができてきたのは良いことかなと思ってます。この調子で人の行き来が多くなって、シーン全体の人口も増えると良いんですけどね(笑)。年配現役バンドが多いのは良いことだと思います。リスナーとしてファンだったバンドも沢山ありますし、ずっと元気で活動していて欲しいです!

NAO   自分が60や70近くになった事を想像すると、そのくらいの歳でカッコイイ事してる人を見ると安心しますね!


ーパンクとか、異ジャンル系イベントにも演るようになったって言ってなかった?


NAO   呼んでもらえたら何処でも出張します(笑)多分、俺以外のメンバーも色んな音楽のスタイル好きだから色んなイベントで色んなスタイルを楽しんでると思う!

Miku   色んなジャンルのイベントに声かけてもらってますね!以外な繋がりがあったり、新しい繋がりができたり、楽しいし刺激もあってありがたいです!

Saori   パンク、ハードコア、SKA、ワールドミュージック、Hip Hop などなど。イベントによってノリが違ったり、新しい人に出会えるのが楽しいので、今後もオファーがあれば色々なところでやっていきたいです!


ー西東京あたりの頼もしい先輩達(笑)に可愛がってもらってると思うけど、なんかエピソードあれば。


Miku   特にわたしは20歳前後からそっちの方に住んでるので、日常として日頃からとても感謝することだらけですね。

2017年にニューオリンズでPonderosa stompってフェスの時なんかは、お世話なってるお姉さん3人来てくれて、会場近くでバンがスーって止まって窓開いて「みくちゃーん!」って、Novさんも来てたし、日常と変わらない顔ぶれすぎてここはニューオリンズなのか?福生なのか?(笑)って時ありましたね。とても楽しかった記憶に残るツアーの一つになりました。

Saori   音楽ではないですが、福生でやっているイベントごとに呼んでもらえるのは嬉しいです。正月の餅つきやBBQ、米軍基地開放などなど。普段イベントで話す機会がない人と話せたり、そこで新しい繋がりができてその人達がライブに遊びに来てくれたりとか。

NAO   いつもフラットに遊んでもらえるから楽しいし、みんないると安心感ありますねー!家が遠くなってしまったので最近中々遊びに行けてないけど、やっぱり人も場所も好きですねー!



ー今後の展望ありますか? あんなこと、こんなことしてみたいとか?


Rie   ツアーしたことのない南米かアジアの幾つかのところでライヴをしてみたいです。シングルになるといいのに、と密かに思う曲があるので自分のバンドのシングルレコードが欲しいです(笑)

Miku   アメリカ、コニーアイランドのサイドショーでライブ!

Saori   音源に関しては、新曲も溜まってきたので今年の終わりか来年の頭に新しいアルバムが作れたら良いなと思っています。ライブに関しては、あまり他のバンドがやってない国でやってみたいですねー。南米とか楽しそう。あと、モンゴルも結構クラブシーンが面白いって聞いたので、気になっています!

NAO   最近 The SCUMS と言う変名バンドも作ったのでそっちも是非ー!俺がファズ使ったり、ピアノがオルガンになったり、色変えて遊んでます!


ー最後にファンの方や、バンドをまだ知らない方へもメッセージあれば


Rie   いえ、もう、良ければライヴを観に来ていただければ!それで「なんか楽しい」と思ってもらえたら嬉しいです。どこかでお会いしましょう。

Miku   何かのきっかけでたまたまこれを見てくれてる方も、これからもライブやり続けるので、是非ライブを見に来てください♪

Saori   今回の再発で1stシングルが手に取りやすくなったので、気になっていた方はぜひチェックしてみてください!

また、機会があればライブにも遊びに来ていただけると嬉しいです。ありがたいことにいつも素敵なイベントに呼んでいただいているので、自分達以外の出演者やDJも楽しめると思います!

NAO   ライブに遊びに来てくれたり、音源を聴いて貰ったりしてる人達、本当に感謝です!まだ知らない方には是非ライブ見てもらいたいです!


編集後記

 十数年前に出会ってた頃は未だシーンの若手ホープだった彼らが、今や気づけばシーンのど真ん中でロックンロールをしてるのが嬉しい限りで、現状でもシーンを引っ張ってくれているThe 5.6.7.8’s、ジャッキー&ザ・セドリックス、ギターウルフ他、数々の世界に認められたバンド群共々に、今後のシーンを盛り上げてくれる事でしょう!

 世間一般からしたら極狭いシーンではあるけれど、好きになっちゃたもんはしょうがない「ロックンロール」。元気な彼らのエキスをもらって、とことん楽しく生きましょう!ライブもよくやってるので機会があれば是非に!



LIVE SCHEDULE 2024

7/6(土)ノロガルナイト @幡ヶ谷Club Heavy Sick
7/7(日)@渋谷Organ Bar 
7/13(土)Back From The Grave Returns @東高円寺UFO Club 
8/4(日) @荻窪Top Beat Club 
8/11(日)Back From The Grave Returns @江ノ島Oppa-la 
8/12(月)@調布Cross 
8/17 (土)@御殿場 RINCOLO
8/31(土)@心斎橋 Club STOMP